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甲骨文 2007年10月26日(金)更新
殷 前14~12世紀
中国の文字がいつごろ、いかにして発生したものなのか、それは判然としない。蒼頡による鳥跡文字の伝説は信ずるに足りないし、古く土器片などに幾何学的な文様や太陽、山を図案化した刻線を見かけることはあっても、それはまだ文字とは言えないものである。はっきりと文字資料と認められる最初の遺例は殷の甲骨文である。河南省安陽の、当時の都と考えられている殷墟より出土した遺物で、亀甲や獣骨に、戦争・狩猟・農耕など日常生活の事柄を神に問い、その結果を鋭利な刃物で刻したものである。甲骨の表面を一刀彫りするため、直線的な素朴な線による構成、左右相称に近い造形の文字が多いが、そこにはもう古代人らしい美的造形感覚が作用している。殷代270年間の大量の甲骨文は字形や書風により五期に区分されているが、とまれ、文字を書き刻すという神聖な事業に中国人の美的関心が加わり、やがて書は、人の心の美しさや細やかな感情を表出する芸術の領域に昇華していくことになる。出所:「書の歴史」
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