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ガラス茶碗 2007年11月15日(木)更新
唐(中央アジア)・9世紀
ガラス
1987年法門寺塔基地宮後室出土
口径12.7cm、高4.6~5.3cm、深4.2cm、重117.3g
法門寺博物館蔵
碗:気泡の多い淡黄緑色透明のガラス地を宙吹技法で天目碗形に成形。ポンテ竿(受竿)を使用し、口縁部は口焼仕上げ。腹部はやや丸みをもって外側に張り出し、底部には貼り付け環状高台を有する。外側底部中央にはポンテ痕が認められる。碗も托も、同一素材、同一技法によっており、碗が托の中に入って高台部が浮いた状態で止まるように作られていることから、当初から一対で作られたものと考えられる。
器形的には、まさにガラス製の天目茶碗と茶托であり、法門寺地下宮から多数の茶器・茶具が伴出していることからすれば、この碗・托も9世紀後半(874年埋納)の茶道具の一と考えられる。こういった器形は西方にはあまり例がなく、この中国器形で西方素材・技法の作例の製作地をどこに求めるかで議論がある。仮に中国製とすれば、西方のガラス素材と、これを用いた吹ガラス窯と、ポンテ竿を用いているため複数の熟練した吹ガラス技術者の存在とを中国国内に求める必要があるが、現在までの中国出土例で見る限りその可能性は低い。中国器形で西方素材・技法の作例では、やや年代は下がるが、他に正倉院蔵ガラス唾壷(1021年納)がある。これなども西方出土例により、中国からの注文で西トルキスタンなど中央アジアの窯でつくられたことがほぼ判明しており、法門寺の碗・托もこれと同様、西方への中国からの特注品の可能性が高いと考えられる。出所:「唐皇帝からの贈り物」
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