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湖天春色図 2007年12月13日(木)更新

湖天春色図

【和:こてんじゅんしょくず
【中:Hu tian chun ce tu
明・清|彫刻・書画>湖天春色図

呉歴筆
紙本著色
縦123.5 横62.5
清・十七~十八世紀
上海博物館
 呉歴は字を漁山といい、墨井道人、桃渓居士と号した。明の崇禎五年(1632)に常熟(江蘇省)で生まれた。号の墨井とは常熟にある孔子の弟子言偃(子游)の故宅の墨汁のような水の井戸に因んだものという。初め仏教に帰依したが康熙五年(1666)、友人の虞山の禅僧黙容和尚が残した後、四十才頃より天主教(カトリック)を信仰したという。康熙二十年(1681)、二十才の時に宣教師フィリップ・クープレ(中国名は柏応理)に従ってマカオにいきローマに渡ろうとしたが果たせず、翌年マカオで正式に耶蘇会に入った。康熙二十七年(1688)、五十七才の時、上海で中国人最初の司鐸(伝導者)になり、以後は上海、嘉定、蘇州などで布教活動をした。康熙五十七年(1718)、上海で八十七才で歿した。詩文、琴をよくし、また同郷の王翬とともに王時敏、王鑑に学んで山本画をよくした。宋元の古画を臨摸したが、特に元末四大家の黄公望を師法し、さらに呉鎮、王蒙をも学んだという。王時敏、王鑑、王翬、王原祁、惲寿平とともに清初六大家に数えられ、「四王呉惲」と並称される。
湖天春色図は自賛によれば辰の年の中元(七月十五日)後三日の作。北宋末の宗室画家で小景画をよくした趙令穣の湖天春色図を倣ったものという。湖堤に連なる柳は春風の中に揺れ、鶯燕や水禽が湖上に遊ぶ春の景色を、明るい色彩と精細な筆により巧みに描いているが、その遠近の表現には西洋画法の影響があるといわれる。この辰の年の春に呉歴はベルギー人ルリマン(魯日満)に従遊し君子の堂に登り詩酒を累ねて日々を過ごしたと自賛に記されるが、辰の年とは康熙十五年(1676)であるとする説がある。そうとすると、呉歴四十五才、天主教(カトリック)を信仰してまもない頃の作ということになる。自賛の款記は「墨井道人呉歴」、印は「呉歴漁山之印」朱文方印、「墨井道人」朱文方印が鈐され、 また、「家在桃渓深処」朱文方印が鈐される。龐元済旧蔵品。出所:「上海博物館展」

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