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如来坐像 2007年12月13日(木)更新
石造彩色
総高163.0
北斉・六世紀
上海博物館蔵
中国における造仏活動は、南北朝時代に高揚期をむかえ、とくに華北にあっては、北魏から東魏、北斉にかけて、おびただしい数の仏像が造立された。雲崗・龍門・響堂山などの石窟寺院をはじめ、石像や金鋼像など、当時の造像例は今日でも数多く遺存する。
本像は、こうした時期の単独像の遺品のなかでも大ぶりで、光背台座がほぼ完存する貴重な作例の一つである。すべて石灰岩の一材から彫り出され、表面には部分的に彩色が残る。
頭部は丸彫りに近く、正面観ではおおむね椿楕円形の輪郭をし、頰から顎にかけて豊かな肉付けが施されていることなど、東魏末期から北斉にかけて盛行した作風をみることができる。一方、口角を深く彫り込んで頰骨あたりの隆起を強調する表現には、北魏以来の伝統的な作風の余韻がうかがわれる。額の中央にある大きな円孔には、かつて水晶などの貴石を嵌めこみ、如来の相好の一つである白毫を表わしていたのであろう。
体にまとう衣は薄手で、布の柔らかな質感が巧みに表現されている。また、衣が体に密着して表わされることによって、丸みのある肉身の起伏があらわとなっている。いずれも北斉の遺品に顕著な作風である。二重の刻線を基調とした衣文は、北響堂山石窟北洞の諸像(東魏末期あるいは北斉初期)などに類例があるが、衣文全体の構成は、近年紹介された河南省安陽の大留聖窟の諸像(東魏末期頃)に、より近いことが注目されよう。
光背は、装飾性に富んだ挙身光で、前代の形式を踏襲するものの、火焰の重なり方や、その端々が渦巻く様、さらに唐草文の葉や蔓が上下に交差する状態など、立体的な文様表現がなされており、北斉の作風の特色が認められる。
台座は、上部と下部に下向きの蓮弁がついた珍しい形式である。花弁の幅が広く、中央が盛り上がり、先瑞が少し反った形の蓮弁は、東魏・北斉の遺品によくみられ、ここにも時代性が示されている。こうした各部のつくりからすると、北斉初め頃の製作と考えるのが穏当であろう。前腕の半ばから先を欠失するため印相がわからず、尊名も明らかでないが、新旧両様が巧みに融合された端正かつ潑刺とした造形をみせ、工人の卓越した手腕がうかがわれる。出所:「上海博物館展」
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