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人物家屋銅飾 2007年12月26日(水)更新
【和:じんぶつかおくどうかざり】 |
【中:Ren wu jia wu tong shi】 |
秦・漢・三国|青銅器>人物家屋銅飾
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前漢中期
青銅
通高11.5cm 幅12.5cm 奥行7.5cm 重999g
1956年晋寧県石寨山出土
雲南省博物館所蔵
装飾品。家屋は,高床式と校倉造りとを結合させた建築型式である。大本で柱をつくり,上下二層の平台を形成している。手すりと手すりの板,柱と板には,すきまなく雷文,縄文,複線三角文からなる帯状の文様が刻まれている。台の前には高いはしごがかけてあり,そのはしごの上には一匹の蛇が鋳出されている。平台の後部中央は,校倉造りの家屋になっている。家屋の壁には何本もの横線が刻まれているが,これは材木を積み重ねてできあがっていることを示している。屋根は大きな山型である。家屋と手すりとの間は回廊を形成している。家屋の正面には方形の窓があいており,その中に人間の首が供えてある。窓の前の台上には,銅鼓が1つ置かれている。台上には全部で13人の人間と何匹かの動物,容器,皿などがある。回廊の右方には5人おり,そのうち2人は男子で,手すりにぴったりとくっついてひざまずいている。その後には1人の女子が坐り,両手で物のはいったひょうたん形の容器をささげもっている。
この3人はみなさいづち形のまげを結い,台の前の方を向いている。残りの2人は, 1人がさいづち形のまげ, もう1人が2本の弁髪を結い,各自右手に円形の蓋付き容器をかかえ,手すりによりかかっている。正面の窓の左側には,長いテーブルが手すりに立てかけてある。テーブルの上には,5つの長い円形の食物が並べられている。テーブルの前にはさいづち形のまげを結った男子が坐り,両手をテーブルの上にのせ,何かをこねて食品を作っているようである。その右の1人は頭にはちまきを巻き,手すりの板につかまって立っている。その左には子供が坐り,両手を前に伸ばして食物をねだっているようである。台の入口のはしごの左には1匹の犬が伏せている。正面の窓の左には,さいづち形のまげを結った3人の男子が車座に坐って,
1つの桶と鉢を囲んでいる。その中には食物がはいっている。家屋の右前方のかどには,重ねた銅鼓が2つ置かれている。銅鼓の後には,
さいづち形のまげを絡った男子が1人手すりによりかかって葫蘆笙を吹いている。そのそばには,馬蹄銀形のまげを結った女子が台に向って坐っている。家屋の左右の妻側の棟持柱にはそれぞれ牛の頭がかけられている。手すりの上には猪あるいは牛の腿肉が2本置かれており,そのうちの1本と1つめ牛頭には,さらに1羽のオウムがとまっている。台下のはしごの左方には, 5頭の牛と1匹のねずみのような小獣がいる。はしごの右正面には大釜が置かれ, 1人の男子が立って柄の長い道具をもって,釜の中の食物をかきまわしている。釜の下では1人の子供が地面にはいつくばって火を吹いている。もう1人が坐ってそれを見ている。そのわきには高坏形の容器が置かれている。はしごの右側には羊2頭,猪1匹,豚の飼葉桶,ねずみがいる。
この人物家屋銅飾り,その人物活動場面が表現している意味は,故馮漢驥先生の解釈によれば,農業と関係のある一種の「妊娠出産儀式」とみなすべきであるという。この種の儀式をおこなう目的は,土地の「妊娠出産能力」を回復させ,農作物が芽を出して成長し,豊かな収穫をもたらしてくれるようにすることにある。正面窓の中に供えられた人間の首は,その地位がとても高かったために,狩り取られるはめにおちいった人物の首であろう。笙を吹く者,食物を煮る者,食品をこねている者は,みなこの首にもてなしをすることと関係がある。まさに近代のワ(イ+瓦)族が首狩りをしてもどったあと,木鼓を家の前に置き,食品でもって祭りをおこない,農作物の成長と豊作の加護を首に求め,秋の五穀豊穣を祈ることと同じである。はしごの上に鋳出された蛇は,大地の象徴である。大地は、農作物の成長を頼る根本であり,農作物の発育成長と切っても切れない関係にある。それゆえに,祭祀の対象ともなっているのである。出所:「雲南博物館青銅器展」
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