考古用語辞典 A-Words

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虎紋銅戈(四川) 2008年03月06(木)更新

虎紋銅戈(四川)

【和:こもんどうか
【中:Hu wen tong ge
春秋戦国|青銅器>虎紋銅戈(四川)

時代:戦国
法量:長さ25.3cm、欄幅13.6cm
出土年:1972年
出土地点:郫県独柏樹
  この戈は直援で内は方形をなし、長い胡には三つの穿孔がある。援と内が接する部位には両面とも浮き彫り状の虎頭紋が鋳造されている。その虎は頭が鋒を向き、口を広げて牙をむきだしており、その様相はきわめて凶猛である。虎の耳は後ろに向いて伸びており、虎の身体は「内」に陰刻されている。頭部と身体部の釣り合いは不相応である。胡の両面には紋飾があり、片面には一人の人物が鉢造され、その人物は髷を結い、地にひざまずき、腰に剣をさしている。脊の片側には一行の銘文が鋳造されており、字体は中原地区の壺こ甲骨・文字、金文などとは共異なり、現在のところ解読に至っていない。
鋳造によるこの類いの銘文をもつ銅戈を、考古学者たちは万県、郫県と新都で前後3点発見している。これら銘文は先秦時期の巴・蜀の領城内の地方文字に違いない。おおよそ秦が巴蜀3を滅ぼして以後、この文字が再び使用されることは無かったのだろう。しかしながら戈の銘文と共存している符号紋飾からみると、胡に鋳出された人物像は、『蜀王本紀』に描かれた「椎髻左衽」(髷を結い、衣服は左前)という蜀人の形象と同じであり、蜀人であるに違いない。戈にみられる虎紋は、巴蜀地区の兵器や楽器に大量にみられるものである。研究者は古代巴人の一氏族の徽章であったと考えている。この戈は中国古代巴蜀文化の芸術珍品なのである。出所:『中国四川省古代文物展』-三国志のふるさと、遥かなる大地の遺宝2000

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