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硯 2008年07月03日(木)更新
【和:「すずり】 |
【中:「Yan】 |
基本用語|>硯
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中国では書道と絵画が一段と普及するにつれて、硯材とその活用に心を配った。端渓石は文理が豊富で、材質が玉のごとくなめらかな良材が多いため、石の形や石紋を生かして彫刻をほどこし、古くから愛用されてきた。歙州石は文理が自然で、きめこまか、墨のおりもよいが、石質が硬いため彫刻したものは少ない。北宋に出現した洮河硯は石色のむらがなく、石質はきめこまかく、全体に大きく彫刻がほどこされ、古風な素朴さにあふれ、荘重で重みを感じさせる。唐代に始まる澄泥硯は墨のおりが特によく、筆毫をいためない。以上の四種類の硯材は「中国四大名硯」とよばれ、古くから人々に愛用された。
中国の硯材は種類も多く、「四大名硯」のほか、菊花石硯、紅絲石硯、松花江石硯など数十種類に及ぶ。松花江石は、清朝の発祥の地でとれるので、内廷の正式硯と定められ、内府の造辦処で硯に精刻された。しかし石質は硬く、墨のおりも悪く、実用には適さないので、皇帝の決裁時の「硃批」に使うか、 一度も使われぬままに装飾品として陳列された。
清宮はほかにも、造形を楽しむために、象牙、水晶、瑪瑙、玉などで精緻な工芸品の硯をつくらせ、また、各地で銘硯を求めて鑑蔵した。乾隆帝は、内府所蔵の古今の名硯二〇〇面を収録する『西清硯譜』を編纂せしめている。出所:『北京博物院・清朝宮廷文化展』
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