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莫高窟第二七二窟-西壁南側 2008年09月14日(日)更新
【和:ばっこうくつだい二七二くつ】 |
【中:Mo gao ku di 272 ku】 |
晋・南北朝|彫刻・書画>莫高窟第二七二窟-西壁南側 |
供養菩薩
紙本着色
縦136.8 横98.5
北涼
第二七二窟は、敦煌莫高窟の現存する窟としては最初期、北涼時代の窟と考えられている。
仏倚坐像を本尊とする窟内は統一的な構想に基づいて造営され、特に堂内荘厳に絵画が果たす役割は大きく、さまざまなモチーフが窟内を飾っている。例えば天井は、ラテルネンデッケの藻井を天宮伎楽図や飛天図が囲、また南北側壁は千仏図でびっしり埋め、中に方形の区画を設け、そこに仏説法図を描いており、これらの壁画配置形式はその後長らく受け継がれていく。
しかし西壁の仏龕左右のかなり広い壁面いっばいに描かれた供養菩薩図だけは、 ユニークな存在と言えよう。あたかも天井を巡る飛天が、仏龕左右に降り来たって龕内弥勒仏の説法を聴聞し賛嘆供養するかのようで、左右ともに五体ずつが上下四段に並ぶ。最下段の五体は、蓮池から伸びた蓮華座上にあり、二〇体すべてが蓮池に生まれた化生菩薩を表すとの解釈もある。
本図は、西壁向かって左の菩薩二〇体で、規則的に配置されながら、しかし顔や体の向きを違え、両手をさまざまに屈伸し、胡坐するもの、片膝を立てて坐すもの、横坐りのもの、その姿態は千変万化、一体として同じものはない。とりわけ表情豊かな手が作り出す動勢がこの群像にリズミカルな活気を与え、法悦境に入った菩薩たちの喜びが直截に伝わってくるかのようである。
菩薩たちの内身部には、セピア色の伸びやかでしっかりした輪郭線が引かれているが、これは隈どりが変色したものである。そのあたかも仮面を見るような図式的な顔の隈取りや、赤土色の下地に白、緑青、朱などを配した鮮烈な色彩対比などがこの壁画の西域様式を最も色濃く伝えている。なお一見プリミティブな表現の中で、緑青や朱の裳に当初の洗練された美しい衣褶文が残っているのも見逃せない。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念
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