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華清池 2008年10月12日(日)更新
春寒くして浴を賜う華清の池
温泉 水滑らかにして 凝脂に洗ぐ
白居易「長恨歌」の中の詩句である。華清池は西周の頃から知られた温泉で、秦始皇帝をはじめ歴代の皇帝がこの地に離宮をかまえた。西安東郊の驪山山麓にあるこの華清池は、玄宗皇帝と楊貴妃のロマンスの舞台としてつとに知られたところだが、いまはほとんどその歴史をものがたるものを地上に残していない。温泉遊覧地として整備し、故事にちなんだ建物や浴場などを設けているが、もとよりそれは考証にもとづく正確な復原ではない。
この華清池では、最近幾度か発掘調査がおこなわれており、唐代の建築址や浴場跡などが見つかっている。発掘調査によって検出された浴場跡の一つは、東西十メートル、南北六メートル、深さ一・五メートルの大規模なもので、蓮の花のかたちをしていたという。史料によれば、玄宗皇帝の浴槽には、中央に白玉の蓮花を立て、そこから清澄な温泉がほとばしり出ていたとあり、蓮花湯の名でよばれていた。近頃発掘された大浴場は、あるいはこの蓮花湯そのものであるかもしれない。蓮の花のかたちをした大浴場の近くで、他に二つの浴槽が発見され、これは楊貴妃の使ったものではないかといわれているが、真偽のほどは明らかでない。いずれにしても、発掘は今後も継続されるであろう一し、史実を語る遺物や遺構の新発見を今後に期待したい。
唐代、興慶宮から華清池への道は、春明門から東へ滻河をこえ覇橋を渡って東北東へおよそ三十キロの距離である。華清池ヘ出行の日、玄宗皇帝と楊貴妃は、多数の女官や儀伎兵をしたがえ、 一日かけてこの道をたどった。 一行が華清池へ到達する頃、太陽はもう西に傾いている。折から、眼前に迫る驪山は夕陽に映えて燃えるが如く、言葉で尽くせないようなすばらしい情景が展開したことであろう。出所:中国の群像-楊貴妃安禄山
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