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寿出石 2009年7月9日更新

寿出石

【和:じゅざんせき
【中:Shou shan shi
彫刻・書画|基本用語|>寿出石

福建省部の福州東方四〇キロの寿山郷、月洋郷を中心とした一帯から産出する。明末から採石され、良材は乾隆時代までに採石され尽したといわれるが、今も盛んに産出していて石印材中、最も量が多い。 寿山の坑は田坑、水坑、山坑の三種に分けているが、田坑は田畑の底から採石、水坑は坑内に地下水のあるもの、山坑は早坑で水のない坑である。 寿山山脈は寿山、芙蓉、九峯の三山が主峯で鼎立しており、寿山峰は一五〇〇メートル程の高さらしい。起伏する連山がある。 寿山山系の主な坑と優材を挙げる。
(一)田坑
寿山渓へ通ずる東行する坂道がある。これを田黄坂と言う。この周辺の田や畑から採掘したのが田坑である。寿山渓から流れ出る渓流によって運ばれた石が田畑の底に埋っていためけである。田坑を四つに分類し、上坂、中坂、下坂、堆下とする。田黄坂を平地から坂上までを四つに分け、その周辺の田畑坑を分けた呼称である。中、上坂に良材が出たという。
田黄:田坑から出た黄色の石で最高のものは石印材の王者と言われる。仔石として産出するので自然形のものが多く、材を惜しむので方材にしたものは少ない。微透明のものと不透明のものがある。透明度の強いものは田黄凍という人もある。
薙萄文:大根の切り口に入る「すしのような文。蘿蔔
文とも言う。棉文、わた毛。水文、流水のような文。紅線、紅いすじ。黄皮、少し色違いの石皮。多く彫彩にするなどがあるのが特徴である。黄色の種類によって品等がある。
第一、鶏油黄、橘皮黄
第二、金黄(黄金色)
第三、桂花黄(もくせいの花の黄色)
第四、塾粟黄(うれた粟の色。蒸粟黄<むし粟の色>とも言う)
第五、枇杷黄と分けているが、第一類はともかくとして第二類以下は石の大きさ、彫琢の優劣などに左右される。あくまで質のみによる品等だが、好みによっても差が出る。
田黄は謝肇淛の『五雑爼』によると、当時(明の万暦時代)金と等価だったという。珍重されたので極小の材まであり、田黄の特色である。田白(白田)白が強く、黄がかすかなもので純浄なものは田黄に劣らぬ逸品がある。
島田(田黒):田坑産の黒い石。真黒なものはなく緑色、黄色の混じた黒である。全黒のものは少なく、部分黒が多い。
田緑・田紅:冴えた緑や紅はなく、かすかにそんな感じの色かと思えるものが多い。黄が台にあるからである。
(ニ)水晶洞
寿出郷の南にある山の水坑で隣の出の麓にある坑頭洞とともに明末・清初に採石された。産石は坑頭洞と同類のものが多く区別されていない。
(三)坑頭洞
寿山郷の両側で水晶洞のある山に隣接する山の山麓にある水坑である。寿山石の優品はこのこ洞から産出した。
水晶凍:無色半透明。凍石だが振りがなく布でこすっても傷痕がつきそうだと形容され、優品は溶けるような感じがする。環の文彩(環凍という)のあるものもある。薄黄(黄水晶)、薄鼠(天藍凍ともいう)などもある。
魚脳凍、無色半透明の中に白色彼透明な部分のあるもの。小波のような細白斑がある。白木島という別名もある。
天藍凍(蔚藍天):藍というが薄灰色といった方が近い。
蝉草凍(仙草凍):前者のやや黄色を帯びたものである。
桐油凍:油色の凍石である。
環凍:前述の坑頭洞で採掘される各石に表れる。白い環の文様がすけて見える。単環、双環、多環とあるが、余り多いと品位が落ちる。
牛角凍:凍というが凍石と強石の二種がある。灰鼠色であるがおいものは灰白色、濃いものは灰黒色のものまである。羊羮色のものもある。
瓜瓤紅:西瓜の程にまといつく果肉に似た赤。凍石の中に表れる。
(四)杜陵坑(都霊坑) 寿山渓の入口、坑頭洞の対出にある。水晶、坑頭洞に続いて採掘された。山坑である。多様な石が出た。その黄色の材は田黄と混同されている。石に振りのある凍石から、練羊羮のような温順なものもある。紅、白、黄の各色があり、これが混りあっている石もある。山坑中では優材の出た坑である。 世元洞、大洞、和尚洞、水洞、瑪瑙洞、祥容洞などの洞がある。光緒・中華民国以後の採石を新高山と言い、それ以前のものを旧高山と言って区別している。
高山黄:黄高山とも言う。良材は田黄と混同されているものがある。旧高山である。
高山凍:無色半透明のものは水晶凍と混同している。表にかすかな突起があったり、中に小さな黒点のあるものなどはこの石であるが、品位があり水晶凍にまけない。微白、微黄のものもある。旧高山である。
多色高山:高山の石は紅、黄、出、乳白、茶、褐と色彩が多い。これらが混在しているものを言う。
紅高山:紅色が白色の中に表れるもので紅一色のものは少ない。紅の点在によって。
桃花紅:桃の花のように紅が固まって点在する。
晩霞紅:細かな点が霧のように散在する。 美人紅:紅が美人の頬紅のようにほのかに出る。
血紅: 紅がべったりついている。
石榴紅:ざくろの実の口をあけたような状。馬肉紅:紅線が美しく出る。坑頭、水晶洞の瓜?紅と混同されている。高山凍に出たものは瓜?紅としてよく、凍石でないものに出たものをこの項に入れればよいと思う。高山産にも半透明、微透明、不透明の三種がある。
高山
寿山渓の奥の山である。前述の各坑が尽きて乾隆頃から採掘されたと言う。大健洞、新洞、油白洞、嫩々洞、世元洞、大洞、和尚洞、水洞、瑪瑙洞、祥容洞などの洞がある。光緒・中華民国以後の採石を新高山と言い、それ以前のものを旧高山と言って区別している。
高山黄:黄高山とも言う。良材は田黄と混同されているものがある。旧高山である。
高山凍:無色半透明のものは水晶凍と混同している。表にかすかな突起があったり、中に小さな黒点のあるものなどはこの石であるが、品位があり水晶凍にまけない。微白、微黄のものもある。旧高山である。
多色高山:高山の石は紅、黄、出、乳白、茶、褐と色彩が多い。これらが混在しているものを言う。
紅高山:紅色が白色の中に表れるもので紅一色のものは少ない。紅の点在によって。
桃花紅:桃の花のように紅が固まって点在する。
晩霞紅:細かな点が霧のように散在する。 美人紅:紅が美人の頬紅のようにほのかに出る。
血紅: 紅がべったりついている。
石榴紅:ざくろの実の口をあけたような状。馬肉紅:紅線が美しく出る。坑頭、水晶洞の瓜瓤紅と混同されている。高山凍に出たものは瓜瓤紅としてよく、凍石でないものに出たものをこの項に入れればよいと思う。高山産にも半透明、微透明、不透明の三種がある。
(五)芙蓉洞 寿山郷から東へ一五キロ、月洋郷という。寿山郷の良材が尽きてから採石したのが月洋郷の芙蓉洞だという。乾隆頃からの採石らしい。この洞の材はすべて蠟石系で凍石はない。石が温順で粘りがあり、穏やかな石である。優材は寿山石を代表するものとして喜ばれている。
白芙蓉:乳白石の石で潤いがある。やや青白い材もある。
黄芙蓉:乳白石に黄味を帯びたものである。
酔芙蓉:黄が強く微透明である。少し赤味を帯びているのでこの名がある。田黄といわれるものの中に混入している。
紅芙蓉:紅が淡く雞血のような鮮やかさはないが、しっとりと落ち着いていて美しい。出所:『文房古玩事典』宇野雪村
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