蓮華手菩薩　2009年9月26日更新

中央アジア、ハラホト
1227年以前
綿布着色
75×24cm
エルミタージュ美術館､サンクトペテルブルク
並外れて素晴らしい作品である、このパドマパーニー･ローケーシュヴラ(蓮華手･世自在)は、オルデンブルグによって、大きな図像が右側にあったとされているものである。中央の像で残っているのは、我々が推測し得る限り、蓮華座と、わずかに本図中に残った膝の部分にかかった、複雑な金の文様のある豪華な黒色の衣だけである。この断片は、いくつかの部分から構成されている。左上の角には、蓮が描かれた裂がはぎ合わせてある。右上と右側の中程には、また別の幅の狭い布が付けてある。この継ぎや､破れて断片から成る状態は、この作品が非常に古くおそらく12世紀以前に描かれたものであることを示唆していると思われる。
　この断片は､ハラホト･コレクションの絵画の中でも、ユニークなものである。本図は､右側の失われた中尊(菩薩)に対して立つ像の中で、そちらを向いている唯一の例なのである。像の上半身は、正面を向いているが､足は側面から見たところが描かれているのである。この像のスタイルの正確な起源は不明ではあるが､おそらくインドやネパールのものではないだろう。　出所：天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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