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大成就者バドラパ(サンポパ) 2009年10月3日更新
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チベット中央部、おそらくツァン地方
15世紀中期
青銅
高24cm
ウェスリー&キャロライン・ハルパート・コレクション
バドラパは八十四人成就者のひとりで、カーンハパ-の弟子として知られている。そのため、彼は無上瑜伽母タントラを代表するチャクラサンヴァラ・タントラと結びついている。彼が、瑜伽のダンスをしている姿勢をとっているので、彼はまた、最も重要な女性の仏の化身であるヴァジュラヨーギニー(金剛瑜伽女)とも結びついている。彼の手が頭の冠を後ろからつかんでいることは、熾盛光印(jvalanamu-dra)を示しており、タントラ行者が微細な水準の意識を、粗い認識から瑜伽の中央脈管に溶かすために使うチャンダーリーの火(gtum mo)に彼が熟練していたことを象徴している。彼の全身の大胆な姿勢は、彼が、上下や、浄不浄や、身心といった二元性を超克していることを意味している。このことは、アバヤダッタの八十四成就者の中に挙げられているような彼の物語と適合している。バドラパは、マニダラと呼ばれる国から来た婆羅門であり、伝統的な婆羅門が抱いていたカーストや清浄に対して強い関心を持っていた。彼は、彼の潅頂の師、おそらくはカーンハパーに出会い、それによって彼の関心は、社会的階級や外面的な清浄さから、普遍的な覚りの人楽や無分別へと移った。そして彼は、母タントラの曼荼羅や瑜伽行を授けられた。彼は、便所を洗うような極端に不浄なものへの卑しい勤めをして、こうした分別への執着を取り除こうとし、6年の間、楽空不二を徹底的に観想した。そこで彼は大成就者となり、数百人の新しい弟子たちを教え、ついに肉体的にこの平面を離れて、ヴァジュラダーキニーの浄土へと行った。
疲れた姿で踊り、瑜伽の妙技で左足を頭の後ろに伸ばしながら、この大成就者は、弓状に曲がっている胴体や、ばらばらでぎこちない手足で大胆に示された魅力あるきびきびした像を見せている。この成就者の彫刻の例は、ほとんど知られていない。この彫刻はよく保存され、活力に満ちているように作られている、15世紀第2四半期からの一例である。
滑らかな身体の表面や、胸の所で交差している宝の鎖の単純さや、彼の短い腰衣を結んでいる長い帯の針金のような動的効果など、こうしたすべては、当時のツァンのギャンツェのクンブム寺の彫刻に似た様式を示している。出所:天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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