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タクルン派ラマ(タンパ・チェンポ) 2009年10月18日更新
チベット中央部、おそらくウ地方
13世紀前半
綿布着色
30.5×28cm
マイケル・マコーミック・コレクション
タクルン派ラマ、タンパ・チェンポ(1142-1210)は、1185年に確立したタクルン・カギュ派の初代座主である。この作品は13世紀に描かれたラマ図のうちでも完成度の高いもののひとつである。豊かで的確な彩色と、熟達した堅実な描線がある。説法印を結び、顎髭をたたえやや笑みを浮かべた丸い顔の座主は、正面を向いており、身にまとう衣のあざやかな色との違いは、流動的で叙情的な美しさのある平板な形を作り出しており、金彩の線がそれをより強調している。あざやかな彩色で彩られた台座は、山岳を極端に様式化したもので、尊像とラマが配列され、主尊のラマを際だたせている。
周囲に描かれている像は、上段左から右に、ナーローパ、ティローパ、執金剛、パクモドゥパ(主尊の頭上中央)、マルパ、ミラレパ、ガムポパとなる。そして主尊チェンポのいる山の嶺の形の龕のわきにいる冠を付けた行者があらわされるが、これは、マイトリーパとアティーシャであろう。これは、カダム派とタクルン派のつながりと関係がある。両端の尊像は、右端は上から四臂十一面観音、インドラブーティ、ヴァジュラヨーギーニー、ラマ、仏頂尊勝母となる。左は、釈迦、二臂チャクラサンヴァラ父母、ラマ、白金剛薩埵の順になる。下端は左から、寄進者、金剛手、四臂大黒天、壺と棒を持った白ジャンバラ、四臂赤金剛ガネーシャ、クルクラ、ヴァジュラヴァーラーヒーの順になる。ラマ、チェンポの台座の下方には、仏塔や仏殿のある伽藍が描かれ、建物の中には人が描かれている。この伽藍は、ガムポパの弟子であり、タンパ・チェンポの師であるパクモドゥパ(1110-1170)の修行のための藁の庵のあった場所にあるデンサティルに違いない。
額は当初のものであり、タンカは、背面にサンギェー・ウォンによる聖句がある。彼はラマ、リンポチェ・ウォンポ(1251-1296)として知られ、タクルン派4世で、この僧院に1年間滞在した(1272-73)。座主としての地位を得てのち、1276年フビライ汗のリウォチェとなった。出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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