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ツォンカパ 2009年10月23日更新
チベット中央部
15世紀第4四半期
綿布着色
95.3×72.1cm
マイケル・マコーミック・コレクション
尊師ジェー・リンポチェ・ツォンカパが、単独で説法印を結んで座る。智慧と真の智慧を識別する心とを象徴する経巻と剣が両肩上の蓮華の上に乗る。ゆったりと袈裟を着る着方によって、胴体の形がはっきりとあらわれ、光背と台座の様式が、15世紀後半頃の様式を示す。抑制された色調、とりわけ暗青色、褐色、暗緑色は、サキャ派の15世紀の絵に見られる明るい色調と異なる。また、キェンリ様式(絵師ジャムヤン・キェンツェ・ワンチュクによる様式。15世紀中期頃)の要素を若干含んでいるようにみられる。
画面最上端の列では、左から、龍樹を含む4人のインド人祖師、弥勒、中央に釈迦牟尼仏、文殊、そして4人のインド人祖師の順に配される。その下のツォンカパの頭光部分の脇には、守護尊の父母仏が4組あらわされる(左から、秘密集会、チャクラサンヴァラ、ヤマーンタカ、大輪金剛手の順に配される)。ツォンカパの剣の付近に小さく文殊、経本の脇にはアティーシャが描かれる。白ターラーと緑ターラーが左右の膝の脇に描かれる。緑ターラーの上に描かれるラマは、後にダライラマ1世と呼ばれるゲンドゥン・トゥプパと付隻が付けられている。
1471年に没したゲンドゥン・トゥプパがラマの中に含まれているということは、このタンカがそれより後に作られたものであることを示している。彼の卓越した地位を考えると、この絵は彼の没後間もない時期に作られた可能性もある。四臂大黒天が台座基部に描かれる。さらに水牛に乗る外護のヤマが右下の角に配される。残りのラマは、両側にそれぞれあと12人、下部に10人いるが、ほとんどの題記が褪色してしまっている。この絵は、15世紀にまでさかのぼるものがほとんどみられない初期のゲルク派の絵画の遺例として重要なものである。出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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