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舎利宝帳 2009年1月25日更新
一九八五年 陝西省臨潼県新豊鎮慶山寺址
(開元二九年〈七四一>)出土
石灰岩・刻画・彩色・貼金、青銅・鍍金、錫(?)
〈宝帳〉総高一〇二.〇、台座下幅八二.〇、台座下奥行八三.五
〈花枝〉高四一.〇~四九.〇
〈蓮華> 高三九.〇
唐 八世紀前半
陝西・臨潼県博物館
慶山寺塔下地下室の主室奥に安置されていた石灰岩製の宝帳。宝帳とは、垂れ幕を垂らして美しく飾りつけた調度あるいは小部屋の類をさすが、ここでは、天蓋と台座を具備する宝帳の形を石で模し、内部に納めた舎利(舎利瓶・舎利)ないし舎利容器(花文棺)を保護し、荘厳する役割をもたせたものである。この種の完好の類例を知らず、注目すべき遺品といえる。
中央の宝帳本体は一材になり、四隅に五角柱を備えた直方体状に作られているが、内部は中空で、そこに舎利と舎利容器が納置されていた。外側の四面には、釈迦説法図(正面)、涅槃図(右側面)、荼毘図(背面)、舎利供養図(左側面)という仏伝図が刻まれ、五角柱には牡丹唐草文が表わされている。
本体の上にのる天蓋部は、上下ニ段(ニ材)からなる。下層には、正面中央に「釈迦如来舎利寶帳」の端正な刻銘(字画内一に貼金)があり、その左右に一対の天部立像と迦陵頻伽が表現され、左右側面と背面には飛天が一対ずつ表わされている。その上に振り出した部位には、四側面に花文(各五組)、上面に牡丹唐草文と飛天・流雲文が表現される。上面の四隅に挿入された青銅製の花枝(花は錫製か)によって、荘厳性が一層高められている。上層には、四側面に花文がめぐり、上面に龍文と流雲文が配置され、その中央に蓮華座を備えた宝珠(ニ材)がかたどられる.台座は、円形の蓮華部と上下七段の方形部からなり、方形部の側面と上面には、舞天や花文が刻出され、最下段の上面左右に、本体大蓋上の花枝に対応するように、蓮の花枝(青鋼製鍍金)が挿入される。下から四段までが前後二材、その上の東腰部から蓮華部までが一材から彫り出されたものである。
各部に朱・淡青・淡緑などの彩色痕と金箔片がみえ、華やかに彩られていた当初の姿がしのばれるとともに、的確かつ丁寧な彫技や、上質な図や文様の表現に、当時の工人の秀逸な技量を目にすることができよう。出所:唐の女帝・則天武后とその時代展1998
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