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香炉 2009年1月25日更新
一九八五年 陝西省臨潼県新豊鎮慶山寺址
(開元二九年〈七四一>出土
青銅、鋳造・鍍金
高13.0、口径13.5
唐 八世紀前半
陝西・臨潼県博物館
慶山寺塔下の主室前方中央に置かれていた香炉で、発見さ一れた時に香灰がいっぱい詰まっていたことから、舎利を納置する際に執り行われた儀式で用いられ、そのまま埋納されたのではないかと推測されている。蓋は三段に盛り上がり、中心に鈕(つまみ)が付けられていたと見える円孔があり、上段側面と中段の上面に花形などの透しが設けられている。この透しを通って、炉の内部で焚かれた香の煙が漂う仕組みである。
炉は、円筒状の身の周りに、獣面がかたどられた獣足(六本)が作り出され、それらの間には、可動式の環をくわえた獣面が一つずつ鋲留めされている。この環によって、全体を吊り下げて使用することも可能である。地金の質感や表面の整形法などからすると、響銅(青銅の一種で、銅・錫・鉛の合金)製になるものと思われる。響銅は、西方から伝来したと見られる素材・技法であるが、轆轤を用いて表面を挽きあげて整形することができるなど、鋳造後の加工が容易なこともあって、唐時代(六一八~九〇七年)には、様々な器物に応用された。
この種の香炉は、同時代の類品が少なからず知られ、当時の香炉の一典型であったと考えられるが、獣の造形には独特のものがあり、同類の金工品の系統を考えるうえで興味深い。出所:唐の女帝・則天武后とその時代展1998
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